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地盤工学会ショッピングカート/商品詳細 杭の鉛直載荷試験方法・同解説〔第一回改訂版〕
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カテゴリー
地盤工学会基準書
タイトル
【丸善出版取扱商品】
杭の鉛直載荷試験方法・同解説〔第一回改訂版〕
ISBN
978-4-88644-064-8
商品コード
200208
サイズ・ページ
B5判 271頁
発行日
2002年05月01日
価格
非会員価格:8,030円 (本体:7,300円+税)
会員特価:7,227円 (本体:6,570円+税)
送料
880円(税込)
詳細内容
ま え が き
1.本書の出版経緯
杭の載荷試験方法に関する学会基準の解説書としては,これまで「杭の鉛直載荷試験方法・同解説」,
「杭の引抜き試験方法・同解説」および「杭の水平載荷試験方法・同解説」が発行され,実用に供されてきた。
「杭の鉛直載荷試験方法」は, 1971年に「クイの鉛直載荷試験基準」として制定され,その後1993年に「杭の鉛直載荷試験方法(JSF 1811)」として改正以降,現在に至る。また,「杭の引抜き試験方法」は, 1989年に「杭の引抜き試験方法(JSF 1821)」として制定以降,現在に至る。これらの基準は,実務上大いにその役割を果たしてきた。しかし,近年前者に代わりうる鉛直載荷試験として,先端載荷試験,急速載荷試験,衝撃載荷試験が普及しつつあり,基準化の時期にあるといえる。
また,兵庫県南部地震以降の耐震設計法の進歩に伴い,引抜き抵抗のみならず,鉛直方向の押込みと引抜きが交互に作用する支持力特性を知るために,鉛直交番載荷試験方法を新たに制定する必要性が生じてきている。さらに,性能設計時代を迎えて,載荷試験が杭の性能検証法として積極的に利用されるためには,試験の低コスト化,試験時間の短縮等への対応が必要となってきている。これらの現状を鑑みて,地盤工学会基準部では,平成10年度から「杭の鉛直載荷試験方法基準化委員会」を設置して,杭に鉛直方向に載荷する,基準化が可能と考えられるすべての試験方法を網羅した新しい基準を作成することとなった。
新しい基準を作成するにあたって,次のことに着目することとした。
① 新しい載荷試験方法の普及
② 載荷方法の多様化
③ 耐震設計への対応
従来の杭頭に載荷する静的載荷試験方法に代わりうる新しい載荷試験方法として取り上げたものは,先端載
荷試験方法,急速載荷試験方法,衝撃載荷試験方法である。これらの試験方法は,最近実績も多くなってきて
おり,試験結果の解釈などに関する研究が精力的に行われている。また,海外においてもすでに基準が制定さ
れているもの,あるいは基準化が進められているものもある。
杭に作用する荷重は,死荷重などの常時作用する荷重,風荷重などの短時間作用する荷重,地震力のように
動的に作用する荷重などがある。静的載荷と動的載荷は,杭体および地盤の速度および加速度に依存する抵抗が無視できるか否かで区分できる。また,動的載荷において急速載荷と衝撃載荷は,杭体の波動を無視できるか否かで区分される。静的載荷試験には,押込み試験方法(従来の鉛直載荷試験方法),先端載荷試験方法,引抜き試験方法,鉛直交番載荷試験方法が該当する。静的載荷試験においても,試験目的の多様化に対応して従来の段階載荷方式に加えて連続載荷方式を追加した。
すなわち,常時荷重に対する安全性などを知るために
段階載荷方式が,動的効果を除いた静的支持力特性を知るために連続載荷方式が対応することになる。なお,急速載荷によって解析的に得られた静的支持力特性は,おおむね連続載荷方式の支持力特性に近いとされる。
兵庫県南部地震以降,基礎の設計基準にレベル2地震の地震力に対する耐震設計法が取り入られるようになった。この地震力によって,杭基礎には,水平力のみならず,ロッキング動による鉛直方向への大きな交番軸力が作用る。すなわち同じ杭において,第2限界抵抗力レベルの押込み力と引抜き力が交互に作用することになる。このような現象に対して,杭の支持力やばね定数の低下の有無とそれらの定量的評価などについては,従来の押込みあるいは引抜き試験方法で対応するには問題点を含んでいるといえる。これらの課題に対して,押込みと引抜きの交番荷重を載荷することによって,杭の鉛直方向の復元力特性を得ることのできる「杭の鉛直交番載荷試験方法」が対応するものとなる。
本書は,単杭に対して鉛直方向に載荷する載荷試験を対象に,
「杭の押込み試験方法(JGS 1811 - 2002)」
「杭の先端載荷試験方法(JGS 1812 - 2002)」
「杭の引抜き試験方法(JGS 1813 - 2002)」
「杭の鉛直交番載荷試験方法(JGS 1814 - 2002)」
「杭の急速載荷試験方法(JGS 1815 - 2002)」
「杭の衝撃載荷試験方法(JGS 1816-2002)」
の6種類の基準で構成されている。
これらの基準作成の実務作業については,静的載荷訓験と動的載荷試験に大別し,「杭の鉛直載荷試験方法
基準化委員会」の下に,「押込み試験方法」,「先端載荷試験方法」,「引抜き試験方法」および「鉛直交番載荷
試験方法」の4基準を対象とする静的試験ワーキンググループ(WGl),「急速載荷試験方法」および「衝撃載荷試験方法」の2基準を対象とする動的試験ワーキンググループ(WG2)および基準相互の調整のための
総則ワーキンググループ(wGO)を各々組織して基準の作成にあたった。
本委員会の成果として,平成11年12月「土と基礎」に6種類の基準本文案が公示され,会員諸氏の忌憚
のないご意見を頂いた。
その後,第33回地盤工学研究発表会において,本委員会主催によるディスカッションセッション「杭の鉛
直載荷試験方法の新しい基準」が開催され,新基準の改正・制定の経緯,各基準の特徴などの説明に引き続き,
各試験に関連する一般研究発表が行われ,活発な討論がなされた。これらの成果は,その後の解説作成などに
活かされている。
平成12年4月からは,「杭の鉛直載荷試験方法基準・同解説編集委員会」に組織替えを行って,基準化委
員会の全委員が委員として参加した。また,実質的な解説および付録の作成については,新たに有識者を加え
て,三つの執筆ワーキングで行った。静的試験(押込み試験)ワーキンググループ(WG1)は,杭の鉛直載
荷試験に関する6基準の基幹となる「押込み試験方法」のみを重点的に担当した。静的試験(押込み試験以外)
ワーキンググループ(WG2)は,「先端載荷試験方法」,「引抜き試験方法」および「鉛直交番載荷試験方法」
の3基準について担当した。動的試験ワーキンググループ(WG3)は,「急速載荷試験方法」および「衝撃載
荷試験方法」の2基準について担当した。
さらに,第1編概説については,幹事会が執筆を担当した。
本書の構成は,第1編概説,第2編以降の各編は各基準の本文・解説および付録からなる。第1編は,6種I
類の基準の分類,特徴などを解説して,目的に応じた試験方法を選択する際の便宜を図った。各編において,
解説は基準本文に関する重要な補足説明として位置付けるように心掛けた。イ寸録としては,基準本文の英訳を
掲載して海外諸国が参考にして頂けるようにしたほか,試験事例については,押込み試験では膨大な数になる
ため掲載を省略したが,他の各試験では主な試験事例に関する文献リストを収録した。また,載荷試験結果の
評価を行う際に解析を伴うものについては,解析方法および解析事例などを載せた。
2.主な変更点および検討事項
●試験名称
本書では,鉛直方向に載荷するすべての試験を網羅したため,試験名称について検討を加えた。杭頭に押込
み方向に載荷する従来の鉛直載荷試験を押込み試験に名称を変更した。杭先端付近に設置したジャッキにより
先端抵抗と周面抵抗を相互反力にして載荷する試験については,従来多くの名称があったが最も特徴を表して
いる先端載荷試験とした。動的試験では,杭体の波動伝播現象を実用上無視できる急速載荷試験を新たに加え
たため,杭頭にハンマーを落下させて載荷する従来の動的載荷試験を衝撃載荷試験に名称を変更した。
●用語
用語についてもいくつかの変更点がある。最も基本的なものとしては,荷重と抵抗を明確に区別したことで
ある。旧基準では,鉛直支持力の特性値として第1限界荷重,第2限界荷重の用語があったが,地盤の抵抗が
主体となる特性値であることから第1限界抵抗力,第2限界抵抗力に変更した。また,周面摩擦力については,
節杭など凹凸の大きい杭周面の抵抗機構をも考慮して,周面抵抗力に変更した。引抜き試験では,先端を拡径
しか先端の引抜き抵抗が引抜き抵抗特性に及ぼす影響も考慮して,降伏抵抗力を第1限界抵抗力に極限抵抗力
を第2限界抵抗力に変更して,押込み試験と同様にした。そのほか,載荷方法における処女荷重段階は新規荷
重段階に変更した。
●グラフ軸
旧鉛直載荷試験基準では,杭の変位が下向きに生じることから沈下と呼び,試験結果の図示方法も文字通り
変位量軸を下向きとしていたが,引抜き試験,先端載荷試験および鉛直交番載荷試験との整合性を図り,また,
6基準で同じように表現するために,下向き変位あるいは上向き変位にかかわらず変位量に統一し,変位量を
横軸に,荷重を縦軸に表示することにした。
●静的載荷と動的載荷の区分
本書では,荷重としての静的載荷と動的載荷の区分を,杭体と地盤の速度および加速度に依存する抵抗を無
視できるか否かに対応する相対載荷時間により明確に定義するとともに,抵抗成分も静的抵抗成分と動的抵抗
成分を明確に区分した。
●段階載荷方式と連続載荷方式
静的載荷試験の載荷方式は,従来,荷重を一定時間保持する載荷方式のみであったが,荷重を保持せずに連
続的に載荷する方式も基準に加えた。前者を段階載荷方式,後者を連続載荷方式と呼ぶこととした。
●第2限界抵抗力の定義と判定
旧基準では,「第2限界荷重(抵抗力)は,杭先端直径の10%相当の杭先端沈下(変位)量が生じたとき
の荷重と杭頭の荷重一沈下(変位)量が沈下(変位)量軸にほぼ平行とみなせる荷重のうち,小さい方とする。」
と定義されていたが,本書では,載荷方式に連続載荷方式を加えたことから,摩擦杭の連続載荷方式では最大
荷重が生じた後に荷重が低下することがあることなどを勘案して,「第2限界抵抗力は,押込み抵抗が最大に
なったときの荷重とする。ただし,杭先端変位量が杭先端直径の10%以下の範囲とする。」に変更した。
最後に,委員,執筆者ほか関係各位の多年にわたるご尽力,基準本文案についての貴重なご意見や研究発表
会のディスカッションセッションにおけるご発表ならびにご討議頂いた会員諸氏のご協力に対して,厚く謝意
を表する次第である。
平成14年5月
杭の鉛直載荷試験方法基準・同解説編集委員会
委員長 岡原 美知夫
目次
第1編 概 説
1.杭の鉛直載荷試験方法の分類と特徴
2.各試験方法の概要と特徴
3.鉛直載荷試験の適用性
第2編 杭の押込み試験
地盤工学会基準「杭の押込み試験方法」
杭の押込み試験方法・同解説
第3編 杭の先端載荷試験
地盤工学会基準「杭の先端載荷試験方法」
杭の先端載荷試験方法・同解説
第4編 杭の引抜き試験杭
地盤工学会基準「杭の引抜き試験方法」
杭の引抜き試験方法・同解説
第5編 杭の鉛直交番載荷試験
地盤工学会基準[杭の鉛直交番載荷試験方法]
杭の鉛直交番載荷試験方法・同解説
第6編 杭の急速載荷試験
地盤工学会基準「杭の急速載荷試験方法」
杭の急速載荷試験方法・同解説
第7編 杭の衝撃載荷試験
地盤工学会基準「杭の衝撃載荷試験方法」
杭の衝撃載荷試験方法・同解説
付録
杭の水平載荷試験方法・同解説〔第一回改訂版〕
B5判 63頁
非会員価格:3,080円
会員特価:2,772円