【2011年8月25日 第1刷】
【2011年12月1日 第2刷】
【2012年3月5日 第3刷】
【2013年10月21日 訂正第4刷】
【2016年3月15日 訂正第5刷】
【2019年7月19日 第6刷】
【2022年11月28日 第7刷】

　平地が少なく,かつ国土が狭隘な我が国では,より広く,より安定に,より低い費用で,道や宅地などのための平面を建設し,維持できるかが古来からの社会的要求であり工学的課題であった。古くから,自然地山の緩い斜面を,安定を保てる限り急勾配のり面に切土をし,また安定を保てる限り急勾配のり面を持つ盛土を建設してきた。

　一方,我が国の宿命的な自然環境は,降雨量が多く豪雨が頻繁にあり,また地震活動度がほぼ全国的に高いことである。切土や盛土をする場合は,出来るだけ安定したものを実現する努力をしてきたが,経済力・技術レベルが十分高くなく,社会的要求度も低かった。近代になると降雨・豪雨と地震に対して一定の対処をしてきたが,従来のほとんどは降雨対策であり,地震対策は積極的には行われてこなかった。

　しかし,最近ではさらに安全・安心に対する社会的要求度が高まってきて,自然斜面や切土・盛土等の降雨・豪雨と地震に対する耐災性の要求レベルが高まってきた。

　このような社会的要請に応えるために開発され,用いられてきた近代的地盤工学の技術の一つが,補強土工法である。



　本マニュアルは,補強土工法の一つ「地山補強土工法」の普及と適切な実施を目指して地盤工学会に設置された地盤設計・施工基準委員会WG5　地山補強土工法(平成20～21年度)により,多数の専門家によって作成されたものである。

　
本書の特徴
・自然斜面・切土のり面だけでなく既設盛土のり面も対象
・引張り補強を基本にしている
・表面材の力学的役割を明確にしている
・排水工を重要視
・従来重視されてこなかった耐震設計も記述



-目次-

第1章 概　説
1.1　適用範囲
1.2　地山補強土工法の構造と特徴
1.3　本マニュアルで取扱う地山補強土工法の分類
1.4　補強材の種類による分類
1.5　表面材(表面材設置工)の考え方

第2章 用語・記号
2.1　用　語
2.2　記　号

第3章 調査・計画
3.1　調査の基本
3.2　調査結果の整理
3.3　計　画
3.4　工法の選定
3.5　適用性の検討

第4章 材　料
4.1　一　般
4.2　芯　材
4.3　定着材
4.4　頭部定着材
4.5　表面材
4.6　その他の材料

第5章 設　計
5.1　設計の基本
5.2　設計に用いる荷重
5.3　補強材設置の基本
5.4　補強材の配置と配置間隔
5.5　補強材の設置角度
5.6　補強材の長さ
5.7　補強材(抵抗)力
5.8 定着材と周辺地盤との許容摩擦抵抗力
5.9　想定する破壊モードと安定計算法
5.10　表面材
5.11　構造細目

第6章 施　工
6.1　一　般
6.2　施工手順
6.3　施工計画
6.4　掘削工
6.5　足場工
6.6　表面材設置工
6.7　補強材設置工
6.8　頭部定着工
6.9　その他の工種
6.10　施工管理
6.11　施工中の観察・点検
6.12　計　測
6.13　施工記録

第7章 引抜き試験
7.1　一　般
7.2　適合性試験
7.3　受け入れ試験
7.4　記　録

第8章 維持管理
8.1　一　般
8.2　維持管理の方法と点検の着目点
8.3　対　策
8.4　記　録

参考資料